酒場って実は、自己投資なんじゃないか。という話。

最近、“自己投資”という言葉をよく聞きます。
資格を取る。
ジムに通う。
美容にお金をかける。
本を読む。
○○を勉強する。
もちろん、どれも自己投資で素敵なことです。(私もヨガしてます!)

でも最近、「酒場って、実はかなり自己投資なのでは?」と思うことがあります。
もちろん、ここで言う酒場は、ただ酔っ払うための場所ではありません。
人と話し、空気を感じ、自分の感覚を少しずつ開いていく場所。
私はそんな意味で、酒場という場所にすごく価値があると思っています。

酒場には、本当にたくさんのストーリーがあります。
お酒や料理の知識だけではなく、それが生まれた背景や、作り手の想い、そのお店が今に至るまでの歴史。

以前、ある社長の方と一緒に飲みに行かせていただいたときのこと。
色んなお店の成り立ちや、店に立つ人たちの話を聞かせてもらいました。
例えば、元ホストの方が営む焼き鳥屋さん。
「ホストは接客の才能がある。だから次のキャリアとして飲食に挑戦したい人を応援したい。」そんな想いで元ホストを雇っているらしい。
また、コの字カウンターの昔ながらの小料理屋さん。
女将さんと大将の二人で切り盛りしていて、定休日は月に一度だけ。でも、たまに店が閉まっていることがある。
理由を聞くと、「今日は女将さんが接骨院に行ってるから。」らしい。みんなの場所をつくるために休んでいる。
そんな話を聞くだけでも、飲食店の見え方が少し変わる。
ただ“食べる場所”ではなく、誰かの人生や時間が積み重なってできている場所なんだと気づかされます。

お酒は、“感覚”に投資している

ここで言うお酒も、ただ酔うためのもの飲み物ではありません。
“良い酔い”としてのお酒。つまり、自分の感覚を少し開いてくれるものです。
例えば、初めて飲むワイン。
最初は、「渋い。」「難しい。」「よく分からない。」で終わることもある。
でも、少しずつ飲んでいくと、「この香り好きかも。」「料理で全然印象が変わる。」「これ、どこで作られているんだろう。」そんな風に、その奥を知りたくなっていく。
そうやって、自分の感覚が少しずつ育っていく。私はこの感覚が、すごく面白いなと思っています。

また、選ぶお酒や飲み方、食べ物には、その時の自分が結構出る。
今日はビールを勢いよく飲みたい日なのか。
ゆっくりワインを飲みたい日なのか。
焼酎をお湯割りで飲みたい気分なのか。
そういう選択の中に、“今の自分”が意外と現れる。
だから酒場は、楽しむ場所であると同時に、「今の自分ってどんな状態なんだろう。」を知る場所でもある気がしています。
しかも、それに正解はありません。
高いものを知っているから偉いわけでも、詳しいからすごいわけでもない。
「これ、好きだな。」「なんかいいな。」そう思える感覚があれば、それで十分。

今日はゆっくりワインを飲む日
今日は焼酎を色んな飲み方をしてみたい日

人との距離も変わる

あと、酒場って、人との距離感も少し変えてくれる。
普段なら話せないことを話せたり、相手の意外な一面を知れたりする。

だから、酒場って空間設計もすごく大事なんだと思います。
例えば、カウンター中心で席同士の距離が近い店だと、自然と会話が生まれる。
逆に、広くて席間が空いている店だと、静かに自分たちだけの時間を楽しむ空気になる。
店主もまた、その場をつくる存在です。会話のハブになったり、初対面同士を自然につないだり。
単なる“飲食”ではなく、空間・人・文化その組み合わせによって、酒場にはコミュニティが生まれていく。

そして、その中で起きる“偶発性”が面白い。
たまたま隣に座った人。
たまたま始まった会話。
たまたま教えてもらったお店。そういう「たまたま」が、自分の世界を少し広げてくれる。
酒場とは、日常と切り離してくれる場所であって、本来交わらなかった人同士をつなぐ場所でもあると思います。
そんなあの空気には、酒場ならではの独特な力がある気がしています。

大衆酒場のドデカ「お茶割り」に興奮している日
「縁結びサワー」という新しい飲み物を知った日

「○○パ」では測れないもの

最近は、「コスパ」や「タイパ」が重視される時代です。
飲食、特にお酒は嗜好品なので、なくても生きていける。むしろ、お金も時間も使わずに済む。
でも、その非効率の中にしかない感覚がある。
そういうものって、あとから振り返ると、意外と自分を作っていたりする。
だから私は、酒場って単なる消費ではなく、“感覚への投資”“新しい価値観への投資”なんじゃないかなと思っています。

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もちろん、ここで言いたいのは、「みんなお酒を飲もう!」「酒場に行こう!」ということではありません。
飲めない人もいるし、好きじゃない人もいる。それでいい。
実際に自分も、お酒を飲まないけど酒場に行くときもあります。(次の日の予定とか鑑みて。)

でも、“自分の感覚を動かすもの”に時間やお金を使い、人と交わることは、すごく大事なことだと思っています。
そんな体験を少しずつ増やしていくことが、結果的に、自分自身を一番豊かにしてくれるのかもしれません。
そのための手段として、酒場を使ってみてもいいんじゃないかと思います。
最近、「これ、自分にとって良い投資だったな。」と思うことがあった方は、もうあなたはbacchante。

この記事を書いた人

なかむらかほ