今夜はしっぽが白い犬の話をいたしましょう。

仕事の関係で、一年に何回かそういうタイミングが訪れるのですが、とにかく毎日だいたい同じようなメンバーで同じ酒場へ行き、ほんのちょっとのつまみをやりながら、同じものを飲み続ける。2時間もすると、今日はこのくらいにしよう、となるのがほとんどの場合ですが、少し飲み足りないかもしれないなあという日には、じゃあ最後にハイボールを飲もう、と選択肢Bが現れたりもする。
当たり前のようにサイズはもちろんMEGAです。

自分の人生の中に何度目ものルーティーンとして現れるこの瞬間は、僕はかなり好きな時間なのですが、どうも好きじゃない人も多そうだなと、最近ようやく気づきました。なんせ店員さんより我々の方が店にいますからね。お、今日は店長は休み?え、明日も?俺たちの方が二日も多くなっちゃうじゃねえか〜わっはっは。

連日連夜なにを話しているのかと自分たちでも不思議なほどですが、実は話すことなんて無限にあり続けて、会話は続くよどこまでもなのです。とはいえこちとら酔っ払い。何を話したか、大事なことほどよく忘れてしまったりして、翌日の飲み会で、いやその話昨日もしたでしょう!なんて笑ったりもするわけです。

逆にどうでもいいことほど無駄によく覚えている。数日前、さすがに疲れましたね今日はと、いつもの五人で始まる飲み会も、どうにも口数少なく、静かに時が過ぎていきます。ふと、一人が世の真理に気づいてしまったかのように口を開きます。飲み会は静かにやるもんじゃない!だれかおもしろい話をしろ!

そんなこと言われてもみんな疲れてるんですよ、とみんなの目があったのも束の間、一人が話し始めます。あるところに白い犬がいてね。そのしっぽは?

\ドッ/

なんと一人のツボへがっつりハマる。いやそんなおもしろい話は初めて聞きましたよ!わはははははは。
もう一人は、しっぽは、と聞いていて、おも、と答えるのは、しっぽと尾が同意の二語が重なってて美しくないんじゃないか、なんて言い出します。
かくして我々はここから笑いの絶えなさすぎる飲み会へと旅立ち、30分ほど経ったころ、まだ白い犬の話してるのか!そろそろ次の話題にしようよ!と号令がくだるほどの夜となりました。

はあ、テキストにするとなんと伝わらないことか!そんな一夜の積み重ねこそが人生の良い酔いをかたちづくっていくのです。
つまり我々はただ酒を飲んでいるだけなのですが、されどただ酒を飲みに来ているのではなく、このかけがえのない時間を過ごしに来ているのかもしれません。

さて今週のヨヨイノヨイは。
そんなルーティーンのさなか、基本的には家に帰るのですが、どうしてももう一軒いっちゃおうかなと自分の中の悪魔、いえいえ天使が囁く日もあるわけです。

これはあまり行かない街にて勘で入った店にて、正真正銘最後の一杯。
焼き鳥食べる?だけ聞かれて、はい是非!と言った私に出されたこの三本。

あっという間に出てしまったので、次はじっくり腰を据えて行ってみたいなと強く思った店でした。
それではまた来週!

この記事を書いた人

逸見愚栄(へんみ ぐえい)