よそ者、若者、馬鹿者…
三軒酎屋は、予定調和を壊す「愛すべきノイズ」でできている。
街づくりや、何かが新しく始まる場所で、よく引き合いに出される言葉があります。
「よそ者、若者、馬鹿者が地域を変える」
正直に言えば、最初はこの言葉に少しだけ、トゲのようなものを感じていました…
どれもどこか、日常の穏やかな輪郭を乱すような響きがあるからです。
でも、三軒茶屋を「クラフト焼酎を語る街」にしようと動き続ける中で、最近この言葉の輪郭が少しずつ変わって見えてきました…
これは、属性や年齢の話ではないのだと思っていて、もっと心の置き場所というか、予定調和な夜にそっと新しい風を吹き込むための「役割」のようなものって感じ
三軒酎屋という活動も、この三つの役割が重なることで、ようやく熱を帯び始めた気がしています。
「よそ者」の視線が、見慣れた景色を塗り替える
まず、よそ者です…
よそ者の強さは、その街の「当たり前」を知らないことにあります!
もちろん、それは危うさでもあります。
街には長い時間をかけて編まれてきたリズムがあり、守るべき静かなルールがある。
だから、よそ者に必要なのは、土足で踏み込む強引さではなく、その土地への小さくしなやかな敬意かと思います。
ただ、その敬意を持った上でなら、よそ者は街に新しい「問い」を置くことが出来たりするのかも…
地元の人にとっては風景の一部になってしまったもの
あまりに身近すぎて、あえて言葉にするのを忘れていたもの
でも、外から来た人間には、妙に心を揺さぶられるもの…
「三軒茶屋の『茶』を『酎』に変えてみる」
冷静に考えれば、それは単なる遊び心かもしれませんが、新しいカルチャーが生まれる火種は、意外とそんな「ちょっとした違和感」から始まるのではないかと思うのです。
よそ者は、正解を教えに来る人ではなくて、むしろ、街の魅力を再発見し、新しい仮説をそっと置いていく人なのかも知れない
「三軒茶屋は、クラフト焼酎を語る街になれるんじゃないか?」
そんな、まだ誰も信じていないけれど、なんだかワクワクする仮説から、街は少しずつ動き始めるんじゃないかな…
「若者」が、重たい歴史を軽やかな体験へ翻訳する
次に、若者です…
ここで言う若者とは、過去のしがらみよりも「今、この瞬間の心地よさ」を信じられる人のことです。
伝統あるもの、歴史のあるもの。それらは尊いけれど、時として重たすぎて、今の私たちの生活からは少し遠い場所に置かれてしまうことがあります。
クラフト焼酎も、もしかするとそうだったのかもしれません…
蔵の哲学や、土地の背景、造り手の執念が詰まった一本…
飲めばその奥深さに驚くのに、どこか「自分たちの飲み物」だと思える入口が見つかりにくい。
この重たい価値を、今の私たちが手に取れる「軽やかさ」に変えていくのが、若者的な役割です!
難しい言葉を、やさしい感性の言葉へ…
格式張った場を、会話が弾む日常の導線へ…
三軒酎屋が大切にしている「価値翻訳」とは、伝統を壊すことではなくて、むしろ、その魅力を今の気分のままに楽しめるよう、入口を丁寧に整えること。
「好きになる前に、まず怖くなくする」
それこそが、新しい文化を街に馴染ませるための、一番やさしい方法なのかもしれません。

「馬鹿者」の愛しき突破力が、夜の記憶を刻む
そして、馬鹿者…
この言葉は、たぶん一番大切で、一番扱いが難しいものです…笑
ここでの馬鹿者とは、決して無謀な人という事ではなくて、常識という壁の向こう側に、誰も見たことがない景色を見ようとする人のことの例えです
普通に考えれば、お酒を広めるには「試飲会」や「勉強会」をするのが正攻法でしょう。
でも、それだけでは届かない夜があって、そもそもお酒に詳しくない人、焼酎という選択肢が自分の中にない人、そんな人たちの心を動かすのは、少しだけ「おかしな入口」だったりします…
たとえば、蔵元が街の酒場を渡り歩く「流しの蔵元」
たとえば、今の感性で路地の活気を再解釈する「角打ち未来」
これらは、効率を考えれば少し遠回りかもしれませんが、その「ちょっとした変さ」こそが、人の記憶に残る余韻になり
「なんか昨日、不思議な角打ちに行ったんだ」
「蔵元の人が、すごく楽しそうに自分の酒を語ってた」
正しいだけの企画は、一晩で忘れられてしまうけれど、少しだけ常識からズレた体験は、誰かに話したくなる物語になります…
馬鹿者の突破力とは、真面目な価値を、記憶に残る「愛おしい時間」まで押し出す力なのかもしれません。
三つの力が溶け合う時、街は「物語」になる
三軒酎屋が目指しているのは、クラフト焼酎という商品を流行らせることではなくて、三軒茶屋という街の中に、クラフト焼酎と自然に出会える「入口」を、雨上がりの水たまりのように点在させることだったりします
そして、お店の人もお客さんも、それぞれのグラスを傾けながら、自分なりの言葉でその時間を語り始めたり…
そんな景色をつくりたいと思っていて、そのためには、きれいな正解だけでは足りない!
ちょっとした違和感と、軽やかな実装と、少し笑われるくらいの情熱…
三軒酎屋は、まだまだ未完成なプロジェクトです。
言葉になりきっていない部分も、誤解される部分も、まだたくさんある。
でも、その「余白」があるからこそ、誰かがそこに自分の夜を重ねる隙間が生まれるのだと信じています。
完璧な計画を眺めるよりも、何かが動き出す瞬間の「熱」を一緒に見届けてほしい。
いつか三軒茶屋の夜に、こんな会話が当たり前のように溶け込む日まで。
「今夜は、クラフト焼酎をゆっくり選んでみようか…」
僕らは今日も、少しだけ風変わりな仮説を、大切に、そして真面目に育てています…
今夜、あなたの街で選ぶ一杯が、少しだけ丁寧なものになりますように…


【三軒酎屋の中の人note】
毎週土曜日更新
【限定20名】寿福酒造場を囲む会 in 三軒茶屋
球磨焼酎の名門・寿福酒造場を、三軒茶屋でじっくり楽しむ夜。
「米焼酎って、こんなに奥深かったんだ…」
そんなふうに、いつもの一杯の見え方が変わる瞬間があったりします…
それは、ただ飲むだけではなく、その焼酎がどんな土地で生まれ、どんな人の手で造られているのかを知った時だと思います
今回は、熊本県人吉市の球磨焼酎の名門・寿福酒造場の杜氏さんを囲んで、三軒茶屋で飲む会を開催します。
寿福酒造場は、1890年創業。
球磨焼酎の伝統を守りながら、常圧蒸留一筋で焼酎を造り続けてきた蔵です。
代表銘柄の「武者返し」は、米のふくよかな香りと旨味が魅力の一本。
そして、四代目杜氏・寿福絹子氏の名を冠した麦焼酎「寿福絹子」は、香ばしさと厚みがあり、一般的な“軽い麦焼酎”とは少し違う表情を持っています。
でも、焼酎の面白さは、スペックだけでは伝わりません。
なぜ、この土地で造られているのか?
なぜ、常圧蒸留にこだわるのか?
どんな料理と合わせると美味しいのか?
どんな想いで、次の世代へつなごうとしているのか?
蔵の方から直接そんな話を聞きながら飲む一杯は、同じ焼酎でも、少し違って感じられるはずです。
会場は、三軒茶屋の有名店「居酒屋ひでじろう」の2階活気があって、料理もお酒もちゃんと美味い!
気取った会ではなく、美味しい料理を囲みながら、寿福酒造場の焼酎をじっくり楽しむ“良い夜”にしたいと思っています。
焼酎に詳しい人は、より深く。
まだ詳しくない人は、いつもより少し近く。
球磨焼酎の名門・寿福酒造場の魅力を、蔵の方の話と一緒に味わえる貴重な機会です。
限定20名!
気になる方は、お早めにどうぞ。
開催概要
日時
2026年7月14日(火)
19:00スタート(3時間)
会場
居酒屋ひでじろう
三軒茶屋を代表する大衆酒場
「時間制・食べ飲み放題」というユニークなスタイルで、料理・お酒ともにクオリティが高く、活気ある雰囲気の中で蔵人さんとの会話もゆっくり楽しめる空間です。
コース内容
3時間 8000円
飲み放題/食べ放題
※詳細メニューは当日のお楽しみ
アクセス
東急田園都市線・世田谷線
三軒茶屋駅 徒歩4〜5分〒154-0004
東京都世田谷区太子堂4-28-9
☎︎ 080-7201-0291
女性の1人飲みの参考書?
倉嶋紀和子(くらしま きわこ)
日本の雑誌編集長、エッセイスト、タレント
大衆酒場文化の第一人者として多方面で活躍
・肩書:『古典酒場』創刊編集長
・称号:酒サムライ(2022年叙任)
・愛称:酔女(吉田類さん命名の俳号)
・雑誌創刊:2007年に居酒屋特化誌『古典酒場』を創刊
・TV出演:『二軒目どうする?』『にっぽん酒処めぐり』など

