酒場に行くのは、お酒を飲むためだけじゃない。

こんにちは。
なかむらかほです。

今日は、私が酒場に行く理由について、少々。

お酒が好きだから。美味しい料理が食べたいから。気になっていたお店に行ってみたいから。
もちろん、全部そうです。
でも最近、酒場に行く理由って、それだけじゃないと思うことが増えました。
というのも、ありがたいことに、ここ最近いろいろな方とお話しする機会をいただいています。
年齢も、仕事も、育ってきた環境も、これまで歩んできた道も全然違う方々。
そんな方々のお話を聞いていると、ある言葉がよく出てきます。

「たまたまご縁があって…」
何年も仲良くしている友人との出会いだったり。
今では師匠のように慕っている方との出会いだったり。
ひょんなことから一緒に仕事をするようになった方との出会いだったり。
そのきっかけをたどっていくと、意外にも酒場だった、なんて話が結構あります。

これって、結構面白いとことだど思います。
なぜなら、最初からそんな出会いやきっかけを期待して酒場に行っていたわけではないから。

たまたま隣に座った。
たまたま同じお酒を頼んだ。
たまたま会話が弾んだ。
その「たまたま」が、何年も続く関係になったり、仕事につながったり、ときには人生の転機になったりする。
そう思うと酒場での1つのタイミングってなんだか人にとって必要であってもいいんじゃないかと思います。

私自身も、酒場で出会って今でも仲良くしていただいている方がいます。
ご夫婦で親しくしてくださる方もいれば、何度も通いたくなるお店もできました。
最初からそんな関係になるなんて、もちろん思っていませんでした。
でも、振り返ってみると、そういう出会いほど不思議と長く続いていたりすることもあるんだろうなと思い…

肩書きなんて、いったん置いておきませんか。

なんで酒場では、そんな出会いが生まれるのでしょうか。
私なりに考えてみたこととして、酒場は、普段の社会生活で身につけている肩書きが少しだけ薄くなる場所なのかなと思います。

会社では上司と部下。
仕事では発注者と受注者。
初対面なら、まず名刺交換をして、会社名や役職を知る。
もちろん、それが悪いわけではないけど相手が何をしている人なのかを知った瞬間、無意識のうちに距離感や話す内容を決めてしまうことってありませんか。
「あ、この会社の方なんだ」
「こんな役職の方なんだ」
そうやって、知らず知らずのうちに相手を見るフィルターができてしまう。

でも、酒場では少し違います。
「それ、美味しそうですね!」とか
たった一言から会話が始まることがあります。

何の仕事をしているのかも、何歳なのかも、どんな経歴なのかも知らない。
それでも、好きなお酒の話や、最近あった出来事、どうでもいいような話で笑い合える。
普段の生活では絶対に接点がなかったであろう人と、気づけば何時間も話していることだってあります。
そして、散々話したあとに仕事を聞いてびっくりすることも。
「え! そんなことをされている方だったんですか!」
なんて(笑)。

でも、順番としては、それくらいがちょうどいいのかもしれません。
何をしている人かより、どんな人なのか。
肩書きではなく、その人自身と向き合える。
私は、酒場のそんなところが好きなんだと思います。

お酒を飲めなくたって、酒場は楽しめるはず

ここまで書くと、お酒が飲める人だけの話に聞こえてしまうかもしれません。

でも、私はそうは思っていません。
体質的にお酒を飲めない方もいれば、あえて飲まないことを選んでいる方もいます。
もちろん、お酒が大好きな方もいます。
それぞれでいいと思うんです。
そもそも、酒場の魅力って、アルコールそのものだけではないと思っています。

料理の香り・味。
調理やお店の音。
隣の席から聞こえてくる笑い声。
店主との何気ない会話。
一緒にいる人との心地よい沈黙。

そういうものが重なって、その場所でしか味わえない時間が生まれる。
私は、その時間が好きです。

だからこそ、もっといろいろな人に酒場を楽しんでほしい。
そして、お酒を飲めない人の、飲み物の選択肢って、もっと増えてもいいんじゃないかとも思っています。
もちろん、最近はノンアルコールの選択肢も少しずつ増えてきました。
でも、酒場に行くと、ウーロン茶、オレンジジュース、ジンジャーエール。

そんな選択肢だけのお店もまだまだあります。
これって、ちょっともったいないなと思うんです。
お酒が飲めないから、とりあえずウーロン茶。

ではなくて。

「今日はこの料理だから、これを飲みたい!」
「この香りが好きだから、これにしよう!」
「初めて見る飲み物だけど、面白そう!」

そんなふうに、飲める人も飲めない人も、自分の好きな一杯を選べたら、酒場はもっと面白くなると思いませんか。
そして、お酒を飲む人だって、必ずしも毎回アルコールを選ぶ必要はなく

今日はお酒を飲みたい。
今日は飲まないけれど、美味しいものを楽しみたい。
その日の気分や体調、一緒にいる人によって、自由に選べたらいい。

お酒を飲めるか、飲めないかではなく、何を飲みたいか。

その選択肢をもっと増やしたい。
そんな想いもあって、bacchanteでは「ジブンノミノススメ」を始めました。

誰かにとっての正解を押しつけるのではなく、自分に合った飲み物を見つけるきっかけを作りたい。
まだ知らない味や楽しみ方を知ることで、酒場に行く理由がひとつ増えるかもしれない。
そして、飲み物の選択肢が増えれば、会話のきっかけだって増えるかもしれません。

「それ、何を飲んでいるんですか?」

そんな一言から、また新しい「たまたま」が生まれるかもしれない。
お酒を飲む人にも、飲まない人にも。
もっと自由に、もっと自分らしく、酒場を楽しんでほしいと思っています。

面白そうに仕事をしている人って、やっぱり面白い

そして最近、もうひとつ酒場で色んな方々と話す中で気づいたことがあります。

私が「この人、素敵だな」と思う方って、仕事を面白がっている人が多いことです。
もちろん、毎日楽しく働いているわけではないと思います。
人には見せない苦労もあるでしょうし、やりたくない仕事をしなければならない日もあるはずです。

仕事なんて、綺麗事だけでは済みません。

それでも、自分の仕事について話すとき、急に目が輝く人がいます。
商品へのこだわりを話し始めたら止まらない人。
自分の業界の未来について、本気で語る人。
誰かに頼まれたわけでもないのに、もっと良くしたいと考え続けている人。

その人の「好き」や「想い」が伝わってくるからそういう方のお話を聞くのが、私は大好きです。

ここまで偉そうにいろいろ書いてきましたが、私自身はというと、なかなか面倒くさい性格をしています。
とにかく負けず嫌いで、就職活動のときには企業の人事担当者から「ド真面目で面白みがない」とフィードバックされたこともあります。

もちろん、真面目であること自体は悪いことではないと思っています。
任されたことには責任を持つし、やると決めたことはきちんとやりたい。
ただ、真面目すぎるがゆえに、自分で自分の可能性を狭めてしまっているのかもしれません。

正しくやらなきゃ。
結果を出さなきゃ。
ちゃんとしなきゃ。

そんなことばかり考えていると、いつの間にか余白がなくなってしまって面白いく仕事ができていないと思います。
だからこそ、私にとって酒場は、少しだけ肩の力を抜ける場所なのかもしれません。

誰かの話を聞いて、「そんな考え方があるんだ!」と驚く。
自分とはまったく違う価値観に触れて、「それも面白いですね!」と思う。
知らなかったお酒を飲んで、「こんな味があるんだ!」と嬉しくなる。

そうやって、誰かの熱量に触れることで、自分の中にも新しい熱が生まれる。
酒場って、そんなエネルギーまで持ち帰れる場所でもある気がします。

今日の一杯が、何かのきっかけになるかもしれない

酒場に行ったからといって、必ず素敵な出会いがあるわけではありません。

誰かと仲良くなれるとも限りませんし、人生が変わるような出来事が起きるとも限りません。
何も起きず、ただ美味しいものを食べて帰る日だってあるし、なんなら喧嘩しちゃうことも…

でも、それで十分だと思うんです。
そもそも、すべての時間に意味や成果を求める必要なんてありません。
何か小さな感情が残るだけで、その時間にはちゃんと価値があります。
そして、何年か経って振り返ったときに、あの日の何気ない会話が、思いがけず今の自分につながっていたことに気づくのかもしれません。
誰かが良いと言ったものではなく、自分が心から良いと思えるものを、少しずつ増やしていきたい。

そのきっかけを、bacchanteでも作っていけたら嬉しいです。

……と、ここまで真面目に酒場について考えてしまうあたり、やっぱり私はド真面目なのでしょう。

まあ、それも私らしさということで(笑)。
今日もどこかで、誰かにとっての「たまたま」が生まれているはずです。

その偶然を、少しだけ楽しみにしていたいと思います。


この記事を書いた人

なかむらかほ