エコーチェンバーの、その先へ。クラフト焼酎とカルチャーの計画的偶発性理論

おすすめされない夜をつくる!エコーチェンバー時代の三軒酎屋論

最近、偶然に何かと出会った記憶って、ありますか?
SNSを開けば、自分が好きそうな投稿が流れてくるし、動画を見れば、次に見たくなりそうな動画が並び、買い物をすれば、関連商品をおすすめされる…
そしてそれは高確率で当たって、ものすごく便利だったりします

ただ、便利になればなるほど、ふと思うことがあります…
僕たちは最近、自分が選ばなかったものに、ちゃんと出会えているのだろうか?

心地よさがつくる小さな部屋

好きなものに囲まれることは心地いいです…
今夜の自分に合いそうなものだけが、そっと差し出される感覚もあるし、それはそれで、とてもありがたい…
でも、心地よすぎる世界の中では、知らないものに戸惑ったり、思ってもいなかったものに心が動いたりする機会が、少しずつ減っていくのも事実…
自分と似た意見、自分がすでに好きなもの、自分が納得しやすい物語…

それらが何度も反響して、自分の周りに小さな部屋をつくっていく…。
いわゆる、エコーチェンバーというヤツである

これはもう、「気をつけましょう」だけで済む話ではない気がしていて、プラットフォームは基本的に、僕たちを快適にする方向へ進んでいるから、興味のないもの、不快なもの、途中で離脱しそうなものは、できるだけ見せないようにしてくれている。

それはサービスとしては正しいし、僕たちも、その方が心地よく長い時間滞在してしまう…
だからこそ、逆に大事になってくるものがある。

飲食店には、まだ予定外が残っている

それが、オフラインであり、私達目線だと飲食店です…

飲食店には、まだ予定外があります。
隣の席の会話が耳に入る。
店主が「これ、飲んでみます?」と差し出す。
初めて見るラベルがカウンターに置いてある。
一軒で帰るつもりが、なぜか二軒目に行く…

アルゴリズムは、自分の過去の行動から未来を予測してくれる。
でも飲食店は、自分の過去とは関係なく、目の前に偶然を置いてくる。
ここに、これからの街づくりやブランディングの大きなヒントがあると思っています。

情報を届けるだけなら、オンラインの方が圧倒的に強い!
広告も、検索も、レコメンドも、データも、オンラインの方が効率がいい。
だからこそ、街や飲食店が担う価値は、単なる情報提供ではなくなっていて、これからの飲食店には、予測できない出会いを生む場としての価値があると思う。

三軒茶屋という「偶然のインフラ」

三軒茶屋には、この「行ってみないとわからない」が、まだ残っています。

大きく整理されすぎていない路地、効率だけでは説明できない店の並び、小さなカウンター、深夜の少しゆるい空気、いろんな仕事をしている人たちが、肩書きを少し脱いで飲んでいる感じ…

もちろん、三軒茶屋がすでに「クラフト焼酎の街」として広く認知されているわけではありません。

むしろ、まだまだ全然これからです。
でも、偶然が起きる土壌はある…
これはかなり大きい。

ただし、偶然は放っておいても、勝手に育つわけではありません。
偶然はコントロールできないが、偶然が起きやすい環境をつくることはできる!

キャリア論に「計画的偶発性理論」という考え方があります。
人生や仕事のチャンスは、すべて計画通りに生まれるわけではない。
むしろ、多くの転機は偶然から生まれる!
だからこそ、偶然をただ待つのではなく、偶然をチャンスに変えやすい環境をつくることが大切だ、という考え方です。
この考え方は、街づくりやブランディングにも転用できるのではないかと思っています。

飲食店で生まれる計画的偶発性

クラフト焼酎という“ちょうどいいわからなさ”

そこで三軒酎屋にとって媒介になるのが、クラフト焼酎です。

クラフト焼酎は、ちょうどいい“わからなさ”を持っています。
ビールほど説明不要ではなく、ワインほど構えすぎなくてもいい…
でも、原料があり、土地があり、蔵があり、造り手の哲学がある…
ラベルがあり、香りがあり、飲み方があり、料理との相性がある。

つまり、語る余白がある…

広告の人はコピーとして見るかもしれないし、デザイナーはラベルに反応するかもしれない、編集者は蔵の物語を聞きたくなるかもしれないし、飲食店の人は料理との組み合わせを考え始めるかもしれない…
詳しくない人は、ただ「今日の自分には、これが合うかもしれない」と感じるところから始めればいい。
同じ一杯を前にして、それぞれのこだわり、偏愛が立ち上がる。
すると、ただの飲み会が、少しだけ企画会議みたいになってしまったりして…

三軒酎屋がやりたいことは、たぶんそこに近いのだと思います。

偶然を管理したいわけではありません!
偶然を台本化したいわけでもありません!

やりたいのは、偶然が育つ畑を耕すことです。
クラフト焼酎を売るためだけではなく、クラフト焼酎をきっかけに、人と人が出会う確率を上げる。
そして、その出会いを一夜の偶然で終わらせず、街のカルチャーへと少しずつ編集していく…

ここでいうブランディングは、ロゴを整えることだけではありません。

ある街に来たとき、「ここでは、こういう出会い方ができる」と人が感じるようになること。
ある店のカウンターに座ったとき、「今日は少しだけ、自分の知らないものを受け取ってもいいかもしれない」と思えること。
その感覚が積み重なったとき、街はブランドになっていくのだと思います。

アルゴリズムが「あなたの好きなもの」を届けてくれる時代に、街は「まだ好きだと知らなかったもの」と出会わせてくれる場所になれる。

おすすめされない夜をつくる…
検索ではたどり着けない一杯に出会う
予定していなかった会話が、次の何かを連れてくる。
三軒茶屋には、まだその余白がある。
そしてクラフト焼酎には、その余白に火をつけるだけの、ちょうどいい“わからなさ”がある。

僕はそこに、三軒酎屋の可能性を感じています。

鹿児島県・佐藤酒造の芋焼酎「黒佐藤(黒麹仕込 佐藤)

【三軒酎屋の中の人note】

【限定20名】寿福酒造場を囲む会 in 三軒茶屋

球磨焼酎の名門・寿福酒造場を、三軒茶屋でじっくり楽しむ夜。
「米焼酎って、こんなに奥深かったんだ…」
そんなふうに、いつもの一杯の見え方が変わる瞬間があったりします…
それは、ただ飲むだけではなく、その焼酎がどんな土地で生まれ、どんな人の手で造られているのかを知った時だと思います
今回は、熊本県人吉市の球磨焼酎の名門・寿福酒造場の杜氏さんを囲んで、三軒茶屋で飲む会を開催します。

寿福酒造場は、1890年創業。
球磨焼酎の伝統を守りながら、常圧蒸留一筋で焼酎を造り続けてきた蔵です。
代表銘柄の「武者返し」は、米のふくよかな香りと旨味が魅力の一本。
そして、四代目杜氏・寿福絹子氏の名を冠した麦焼酎「寿福絹子」は、香ばしさと厚みがあり、一般的な“軽い麦焼酎”とは少し違う表情を持っています。

でも、焼酎の面白さは、スペックだけでは伝わりません。
なぜ、この土地で造られているのか?
なぜ、常圧蒸留にこだわるのか?
どんな料理と合わせると美味しいのか?
どんな想いで、次の世代へつなごうとしているのか?
蔵の方から直接そんな話を聞きながら飲む一杯は、同じ焼酎でも、少し違って感じられるはずです。

会場は、三軒茶屋の有名店「居酒屋ひでじろう」の2階
活気があって、料理もお酒もちゃんと美味い!
気取った会ではなく、美味しい料理を囲みながら、寿福酒造場の焼酎をじっくり楽しむ“良い夜”にしたいと思っています。

焼酎に詳しい人は、より深く。
まだ詳しくない人は、いつもより少し近く。
球磨焼酎の名門・寿福酒造場の魅力を、蔵の方の話と一緒に味わえる貴重な機会です。

限定20名!
気になる方は、お早めにどうぞ。

開催概要

日時
2026年7月14日(火)
19:00スタート(3時間)

会場
居酒屋ひでじろう
三軒茶屋を代表する大衆酒場
「時間制・食べ飲み放題」というユニークなスタイルで、料理・お酒ともにクオリティが高く、活気ある雰囲気の中で蔵人さんとの会話もゆっくり楽しめる空間です。

コース内容
3時間 8000円
飲み放題/食べ放題
※詳細メニューは当日のお楽しみ

アクセス
東急田園都市線・世田谷線
三軒茶屋駅 徒歩4〜5分
〒154-0004
東京都世田谷区太子堂4-28-9
☎︎ 080-7201-0291

この記事を書いた人

中島健壱|三軒酎屋の中の人