壱岐焼酎の“昔”ではなく“今”を飲む、ということ

壱岐焼酎の伝統を、未来の一杯に変える。
重家酒造という蔵の魅力。正直に言うと、僕はこういう蔵に弱いんです…。

ただ古いだけじゃなくて、ただ真面目なだけでもなく、ただ革新的なだけでもない…。
歴史を背負っているのに、ちゃんと前を向いていて、伝統を守っているのに、表現は止まっていない…。
そういう蔵に出会うと、つい語りたくなってしまいます。

長崎県・壱岐島の重家酒造は、まさにそんな蔵です。

歴史を背負いながら、前を向くということ。

壱岐焼酎という、土地に根ざした確かな伝統のど真ん中にいながら、そこで胡坐をかかない。
むしろ、その伝統をどうやって次の時代の一杯にしていくかを、ずっと考え続けているように見える。
だから僕は、重家酒造の魅力を語るとき、単に「老舗の蔵です」とか、「壱岐焼酎の名門です」みたいな言い方では、少し足りない気がしています。

この蔵の面白さは、もっと“動いている”んです。

壱岐焼酎は、麦焼酎のルーツのひとつにして、かなり独特な存在。
まず前提として、壱岐焼酎そのものが面白い!
麦焼酎と聞くと、軽快で、すっきりしていて、飲みやすい。そんなイメージを持っている方も多いと思います。

もちろん、それは間違っていませんが、壱岐焼酎は、そこに少し別の表情を持っています。

理由のひとつが、原料の設計です。
壱岐焼酎は、米こうじと大麦を使うという明確な土地のルールの中で造られています。
一般的な麦焼酎のイメージよりも、麦の香ばしさだけでなく、やわらかな甘みや、ふくらみ、奥行きが出やすい。
GI「壱岐」でも、壱岐市内で採水した水を使い、こうじと穀類の重量比を概ね1対2とすることなどが定められています。

ここが、すごくいいんです!

軽いのに、軽薄じゃなく、飲みやすいのに、薄くない…。
やさしいのに、ちゃんと記憶に残る!
壱岐焼酎には、そういう不思議な立体感があります。

伝統は、使ってこそ意味がある。

そして、その立体感をどう表現するか?

その答えのひとつが、重家酒造なんだと思っています。
重家酒造の魅力は、「昔ながら」で片づけると、むしろ見失う。

重家酒造は1924年創業。

この時点で、十分すごいんです!
時間の厚みがあり、土地の文脈があって、壱岐焼酎という歴史の中で、長く酒を造ってきた蔵です!
さらに同蔵は2013年に日本酒造りを復活させ、2018年には壱岐島内に新たな日本酒蔵を完成させています。

でも、僕が惹かれるのは、そこだけじゃありません。

こういう蔵って、ともすると「昔ながらの製法を守る老舗」として紹介されがちなんです。
もちろん、それも間違いではないのですが、重家酒造の魅力は、そこに収まりきらない。
この蔵は、伝統を保存しているというより、伝統をちゃんと使っている。

しかも、今の時代に届くように、きちんと磨き直している。

重家酒造の焼酎づくりを見ると、その感覚がよく分かります。
公式にも、単に“昔ながら”を美談として語るのではなく、減圧蒸留と常圧蒸留の長所を活かし、手作業と機械の良さを使い分けながら、味と香りのバランスを追求していることが示されています。

これ、すごく大事なことだと思うんです。

伝統って、ときどき「変えないこと」が目的になってしまうじゃないですかぁ?
でも本来は、そうじゃないはずです。
守るべきものを守るために、変えるべきことは変える‼︎

届けたい味わいのために、やり方を更新する‼︎

重家酒造から感じるのは、その健全な柔らかさです。
だから、古いのに古く見えない。むしろ、ちゃんと今っぽい。

焼酎だけじゃない。だからこそ、この蔵の輪郭が立つ
さらに面白いのが、重家酒造は焼酎だけで終わらないところです。

単にお酒の種類を増やすのではなく、入口を増やす。

日本酒「よこやま」「横山五十」を復活・展開し、壱岐焼酎をベースにしたジンにも挑戦している。

商品ラインナップとしても、壱岐焼酎「ちんぐ」「雪洲」、日本酒「よこやま」「横山五十」、そして壱岐焼酎ベースの「OMOYA GIN」が公式に並んでいます。

ここを単純に「いろいろやっていてすごい」と受け取ると、少しもったいない気がします。
僕には、これって全部ひとつの線でつながって見えるんです。

壱岐の酒の魅力を、もっと多くの人に届けたい。

焼酎という入口だけでは届かなかった人にも、別の扉をつくりたい。
土地の酒を、土地の中だけに閉じ込めない。
そういう意思があるから、日本酒にも行くし、ジンにも行く。

つまり、ジャンルを増やしているというより、“届き方”を増やしている。
この感覚は、すごく現代的です。

いま、どれだけ良いものでも、良いだけでは届かないことがある。
味の問題じゃなく、入口の問題で伝わりきらないことがある。
そういう時代において、重家酒造は、酒そのものを磨くだけじゃなく、酒との出会い方まで更新しようとしているように見えます。
重家酒造は、壱岐焼酎の“過去”ではなく“現在進行形”を見せてくれる

僕は、重家酒造の魅力って、結局ここに集約される気がしています。
この蔵は、壱岐焼酎の伝統を語るための蔵ではない。壱岐焼酎の伝統が、いまもちゃんと現在進行形であることを見せてくれる蔵なんです。

GIがある。

土地のルールがある。

歴史がある。

そういう“守られるべきもの”がちゃんとあるからこそ、そこで終わらずに、どう未来につなげるかが問われる。
重家酒造は、その問いから逃げていない。

伝統を背負っているのに、重くなりすぎない。
真面目なのに、閉じていない。
土地に根ざしているのに、ちゃんと外へ開いている。

だから、この蔵の酒には、前を向いている感じがあるんだと思います。

壱岐焼酎に興味がある人はもちろん、クラフト焼酎の奥行きを知りたい人にも、そして、「伝統って、昔の話じゃなくて、未来に手渡すためのものなんだな」と感じたい人にも、重家酒造はかなり面白い存在です。
僕にとって重家酒造は、ただの“いい蔵”ではありません。

壱岐焼酎という伝統が、いまも止まらずに、次の一杯へ向かって動いている。

そのことを、一番わかりやすく見せてくれる蔵のひとつです。
だから、語りたくなる。そしてたぶん、飲みたくなる。
そういう蔵なんです

【重家酒造さんが三軒茶屋にやってくる】
重家酒造を飲む会(焼酎+日本酒)in 三軒茶屋
「いつもの一杯」が、急に“特別な一杯”に変わる瞬間ってあります。
それは、造り手の言葉を聞きながら飲んだ時。

麦焼酎の“発祥の地・壱岐”を代表する 重家酒造。
焼酎だけでなく日本酒も造る蔵だからこそ、この夜は「焼酎だけの会」ではなく、焼酎+日本酒で蔵の世界観を丸ごと味わう会です。

蔵の人が、どんな想いで造っているのか。
どんな料理に合わせてほしいのか。
その話をつまみに飲む一杯は、同じ銘柄でも驚くほど味が変わって感じられます。

会場は、三軒茶屋を代表する大衆酒場 「居酒屋ひでじろう」。
活気があって、料理もお酒もちゃんと美味い。
さらに時間制・食べ飲み放題というユニークなスタイルで、肩ひじ張らずにしっかり楽しめます。

“イベント感”より、“良い夜感”でいきましょう。

追加開催も席に限りがあります。
気になる方は、ぜひお早めにどうぞ。

■ 追加開催|開催概要
日時:2026年5月11日(月)19:00スタート(2時間)
会場:居酒屋ひでじろう(三軒茶屋を代表する大衆酒場。)
「時間制・食べ飲み放題」というユニークなスタイルで、料理・お酒ともにクオリティが高く、活気ある雰囲気の中で蔵人さんとの会話もゆっくり楽しめる空間です。
コース内容:
・2時間
・飲み放題/食べ放題
※詳細メニューは当日のお楽しみ

■ アクセス
東急田園都市線・世田谷線
三軒茶屋駅 徒歩4〜5分
〒154-0004
東京都世田谷区太子堂4-28-9
☎︎ 080-7201-0291

【飲食店スタッフ対象プロセミナー】
重家酒造さんが講師をしてくださる貴重な機会です!
「壱岐焼酎」の魅力に浸りましょう♪

【三軒酎屋の中の人note】

この記事を書いた人

中島健壱|三軒酎屋の中の人