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Sense
学芸大学 つきかげ 第1回|ビール党だった店主・高野裕貴氏が歩む、焼酎と人とバタフライエフェクト
東急東横線の学芸大学駅から歩いて数分。 お店のドアを開けると、炭火の香りとともに目に飛び込んでくるのは、カウンター越しに整然と並ぶ本格焼酎のラベルだ。 店主の高野裕貴氏(以下、高野氏)は、客と言葉を交わしながら、一人ひとりの好みやその日の気分に合わせて焼酎を選んでいる。いまや蔵元の思いや造りの背景までを丁寧に語り、これまで焼酎に馴染みのなかった客までその世界へ引き込んでいる高野氏だが、最初から焼酎 […] -
Column
焼酎の裾野を広げたい。多分、ただそれだけのはなし。
子どもの頃、父親の晩酌の時間が好きだった。宮崎出身の父親は、家でよく「黒霧島」のお湯割りを飲んでいた。たまに僕も作らせてもらったのだが、グラスから立ち上る湯気は、子どもの鼻には刺激が強すぎた。顔を近づけると、目に染みるような感覚がある。 とにかく、臭い。「なんで大人はこんなものを嬉しそうに飲むんだろう」と、不思議でならなかった。 それでも父親の横に座っていたのは、スルメイカやほたての貝ヒモなんかの […] -
焼酎特集
『太子堂 かご』に白石さんがやってきた。仕込み水と天狗櫻、そして同級生の料理に酔いしれる夜
「これ、よかったら来ませんか」「太子堂 かご」の店主・市堀さんから、そんな連絡が入った。 聞けば、鹿児島・いちき串木野から白石酒造の蔵元・白石さんが東京へやってきて、みんなで焼酎を囲む会を開くという。参加者は20人ほど。蔵元を招く会としては比較的小さな規模だ。通常の会のように白石さんが店頭に立って大勢に向けて焼酎を説明するのではなく、参加者と同じ卓を囲み、膝を突き合わせながら一緒に飲む会だという。 […] -
Story
【STORY第1弾】いつから私たちは、焼酎を割って楽しむようになったのだろう|1本の割り材『ハイサワー』の誕生と、酒場に広がるまで
居酒屋でサワーを頼むことは、いまでは珍しくない。焼酎を炭酸や果汁で割り、好みの濃さで飲む。それは現在の酒場でごく普通に見られる光景だ。 では、いまでは当たり前になった『焼酎を割って楽しむ』という酒場の風景は、どのように広がっていったのだろう。その一端を担ってきたのが、東京・目黒で生まれた割り材「ハイサワー」だ。酒場で博水社の「ハイサワー」を楽しんでいる人を見つけると、自らその人のもとへ歩み寄り、目 […] -
Story
【第3回】アイデアと答えはいつも酒場の現場から|造り手と飲み手の境界を越えて共に楽しむ、田中秀子氏の現場主義
株式会社博水社の三代目社長の田中秀子氏はそう語る。 新商品のアイデアを考えるとき、会議室でデータを見つめたり、レシピ本をめくったりするだけでは生まれないものがある。田中氏は今でも頻繁に酒場へ足を運ぶ。ベロベロになるまで飲む必要はない。店のカウンターの一番端っこに腰を下ろし、店主や大将と「最近どうですか?」と世間話をかわす。 「居酒屋さんと、そこに品物を届けている酒屋さんとの話の中にこそ、すべてのヒ […] -
Story
【第1回】必需品ではないお酒を徹底して楽しく |「手助けしたい」からハイサワーを愛するに至った、田中秀子氏の継承
酒場でハイサワーを飲んでいる若者に美尻シールを配る女性がいる。株式会社博水社の三代目社長の田中秀子氏(以下、田中氏)だ。 初めて彼女と会ったのは、武蔵小山の晩杯屋であった。 店を後にする際、田中氏は「ちょっと先に出ててください」と言った。そして、ハイサワーを飲んでいる他のお客さんに「ありがとう」と言って、ハイサワーを象徴する美尻シールを配り歩き始めたのだった。 なぜ、そんなことをするのかと聞くと、 […] -
Column
大衆酒場という、もうひとつのガストロノミー
赤ちょうちんの暖簾をくぐるとき 夕暮れ時の街を歩き、細い路地の入口でぽつりと灯る赤ちょうちんを見つけると、胸の奥がすっと温かくなる。使い込まれた布の暖簾(のれん)をくぐり、ガラガラと音を立てて引き戸を開ける。 その瞬間、店内の熱気が一気に頬を撫でる。大勢の客が交わす賑やかな話し声、グラスとジョッキが触れ合う音、大鍋でグツグツと煮込まれるモツの甘辛い匂い、そして炭火の上で肉の脂が落ちて立ち上る煙。 […] -
Column
一杯目のビールは、本当に「ビール」がうまいのか
酒場の風物詩と、小さな違和感 夕暮れ時の大衆酒場。引き戸を開け、ガヤガヤとした熱気の中に滑り込み、カウンターの椅子に腰を下ろす。上着を脱ぐか脱がないかのうちに、店員さんが「お飲み物は?」と聞きにやってくる。その瞬間、店内のあちこちから同じ言葉が聞こえてくる。「とりあえず、ビールで」酒場では馴染み深い、いつもの光景だ。しかし昔から、この「で」というたった一文字が、私の頭のどこかにずっと引っかかってい […] -
Story
【第3回】「焼酎飲むんだ?」と言われない未来へ|「FIESTA DE TACOCHU」の挑戦と國酒への展望
0→1(初心者のきっかけ)を作る「タコス×焼酎」の発想 「焼酎を広く普及させたい」これが淡路氏の活動における最大の前提である。しかし、日本国内で焼酎の魅力を広めていくにあたり、淡路氏はずっとある課題感を抱いていた。従来の焼酎イベントは、基本的に酒屋や飲食店が主体となって開催されるものが多かった。その形式はどうしても専門的な試飲会のような形になりやすく、集まるターゲットも「普段から焼酎を好んで飲んで […] -
Story
【第2回】コロナ禍の失意を越えて見つけた原点|パリの展示会で目撃した焼酎の大きな変化
キャリアを襲った突然のコロナ禍と解雇劇 淡路氏という人物のキャリアは、自らの意思でステップを駆け上がる、前向きな挑戦の連続であった。淡路氏は「1つの会社に長く留まること」だけを正解とせず、自分の目指す場所や学びの段階に合わせて転職し、経験を積み重ねていくスタイルを貫いていた。憧れの大手旅行会社、JTBへ挑んだ際も、未経験からの採用という高いハードルに対し、まずは派遣社員として足を踏み入れた。現場で […]